皇學館Journal

深層部分を掘り起こし、31文字の世界の奥深さを知る。

文学部 国文学科 木村ゼミ

深層部分を掘り起こし、31文字の世界の奥深さを知る。


31文字の中に隠された、奥深い世界への探求が和歌文学の魅力です。
31文字の中に隠された、奥深い世界への探求が和歌文学の魅力です。

ゼミの研究テーマは、中世の和歌文学。和歌は、近代短歌のように「個人の自由な考え」を基軸にせず、宴席や歌合などの共同的な場で育まれてきた社交の文学です。篮球比分,足球比分5年度のゼミでは、『殷富門院大輔集』の「南都巡礼歌」とそれに続く三十三首の法門歌を教材に、和歌の世界とその背景にある政治や文化なども読み解きました。殷富門院大輔は、後白河院の第一皇女?亮子内親王に仕え、『百人一首』にも選ばれた歌人。多くの歌合に参加した彼女の和歌からは、当時の社会や宗教のあり方、文化、風土などを知ることができます。


ゼミ生は、くずし字を解読し、和歌が詠まれた状況や作者の心情などを読み解き、それぞれの歌に込められた意味を解釈。さらに、先行注釈書の解釈についても再考し、“「本文」と「解釈」は必ずしも正しいとは限らない”という文学研究の基礎も学んでいきます。表層にとどまらず深層部分を掘り起こせた達成感など、31文字の先には、想像以上に奥深い世界が広がっています。ゼミだからこそ得られるこうした経験は、その後の人生の糧になることでしょう。


木村 尚志 教授
木村 尚志 教授

<教員からのメッセージ>

ゼミは、相手を思いやるキャッチボールの場。

私は、学生の考えをよく聞き、その真意をできるだけ具体的に確かめることを大切にしています。「大学とは物事をゆっくり考えたい人のためにある」という原点に立ち返り、互いに議論が広がるゼミを作りたいと思います。